テレネットジャパン株式会社様

SDGsとビジネス機会の創出は両立できるもの。
脱炭素もまた持続可能な成長の実現に繋がります。

テレネットジャパン株式会社
代表取締役社長 石川知子様
常務取締役 佐々木良様

POINT
  • 梱包資材を省き、ごみの排出を削減。小さな積み重ねで環境負荷を低減
  • 地元に貢献したいという思いから、地域の環境整備やSDGsの取組にも積極的に参加
  • 10のアクションカードの共有により、社員一人ひとりが取組への意識変容へ繋がった

情報通信インフラの構築、ネットワークセキュリティの設計・施工・運用保守を主な事業領域とされているのがテレネットジャパン株式会社様です。同社が掲げるパーパスは、サステナビリティを通して社会や地域に貢献すること。脱炭素に対する多様な取組は、もはや企業風土の一つとしてしっかりと根付いていました。

脱炭素は地道な積み重ねから

製造業のように直接的な燃料消費は少ないものの、IT業界では各種サービスの普及に伴う電力消費の増大や環境負荷が、解決すべき喫緊の課題として挙げられています。しかし、デジタル化の伸展は、確実に業務プロセスの改善や生産性向上に寄与しています。通信インフラ技術の高度化もまた脱炭素に繋がっているのだと、佐々木常務は語ります。

佐々木常務「考えてもみてください。リモートワークが増えれば、移動によるCO2排出量を抑制できます。DXが進み、環境負荷に関連するさまざまな要素が低減できます。企業としての個々の取組には限界もありますが、まずはこうした多岐にわたる脱炭素化への貢献が前提としてあることを申し上げておきます」

ITサービス業界の中でも通信インフラ事業はメーカーとの連携が不可欠です。テレネットジャパン株式会社様も、長年大手システムインテグレーターのパートナー企業として事業を展開し、かねてから脱炭素化には積極的に取り組んできました。その功績はグループ内で高く評価され、およそ1,000社から選ばれた2社のうちの1社として、環境省基準の厳しい審査が設けられたサステナビリティ関連のアワードを受賞しています。

佐々木常務「通信インフラを構築する際、従来はとにかくハイスペックな機材を用いていました。現在は、お客様企業のそれぞれの現場にフィットする省電力性に優れた機材を選定し、最適なシステムを提案しています。また、個別の例ではネットワーク敷設時の社内テストも挙げられます。多様な機材を組み合わせて大掛かりな試験運用をするんですね。その際に出る梱包資材はすべてゴミになってしまいます。最初のプロセスから梱包を省いてもらい、できあがったシステムも当社が責任を持ってお客様のもとへお届けします。そんな小さな積み重ねも環境負荷低減に繋がっていると思います」

それでは、同社でこれまで行ってきた取組を具体的に見てまいりましょう。

・空調設備を省エネ型のエアコンに換装。
・社内の照明器具のLED化。
・情報システムのクラウド化によって社内オンプレミスサーバーを廃止。
・積算電力メーターをオフィス内各所に設置し、消費電力の「見える化」を実施。
・業務のDX化、テレワークの推進。
・窓ガラスに遮熱フィルム貼付を施し冷暖房効率をアップ。
・営業車をハイブリッド車に切り替え、CO2排出を削減。

・小型ソーラーパネルによる発電や、ポータブル電源の有効活用。
・グリーン電力オフセット導入の検討(一部活動を開始)

佐々木常務「センサー(積算電力計)でモニタリングすると、ウォーターサーバーの電力消費が大きいことがわかりました。こまめな消灯や電源オフでも節電効果は数%におよびます。また、社内の電話回線を管理するPBX (ビジネスフォンにおける電話交換機)も廃止を進めています。今はほとんどの連絡が各スタッフの携帯電話に直接入るので、外部からの電話を取り次いだり、転送するニーズが減っています。PBXをなくせば24時間動き続けているサーバーを削減できることになります」

しかし、同社のようなテナント企業の場合、ビル設備に関わる部分の刷新には、オーナーとの折衝や管理会社による規制などが障壁となってしまう面もあるのではないでしょうか。その問いには石川社長が答えてくださりました。

石川社長「ビルの屋上で発電する小型ソーラーパネルは、大規模な太陽光パネルではなく、市販のポータブル電源用ソーラーパネルです。建物にパネルを敷設する場合はオーナーさんの承認が必要となりますが、朝、出社したら、社員が屋上にあがって機材を置いてくるだけ。もちろんオーナーさんには了承を得ています。
100本以上におよぶ照明のLED化についてもご理解をいただき、非常用の蛍光灯以外はすべて差し替えました。普段からコミュニケーションを取り、信頼関係の醸成に努めていたからでしょう。以前は私たちから脱炭素化の必要性を働きかけてまいりましたが、最近ではオーナーさんからビル設備についてご提案いただくことも。テナント企業であっても、できることはたくさんあると思います」

HTTへの取組を志向した場合、とかく入居しているビルの規約などが〝できない理由〟として立ちはだかってしまうことがあります、石川社長は「そこで扉を閉じてしまうのではなく、自分たちができることから始めるのがよいのでは?」と語ります。

リーダーの思いが、事業を拓き、意識を変えていく

そもそも石川社長は、先代社長であるご主人が他界された7年前、事業承継を経て現職に就任されました。それまで3人のお子様を育てていく中で、ご主人と二人三脚で地域活動にも積極的に参画されてきたのだといいます。

石川社長「私自身、ここ北区で生まれ育ち、同じ北区出身の主人に嫁ぎました。地元をよりよくしていこう、子どもたちが安心して暮らせる環境を守っていこうという思いは、仕事の傍らPTA会長を務め、保護司として青少年の育成に関わっていた主人の遺志でもあります。そうした活動に取り組んできたことで、さまざまな企業や団体との繋がりも持てるようになりました。また、子どもたちの安全安心を実現するために〝私たちのIT技術が貢献できないか?〟という発想が、幼稚園や保育園の見守りシステムや、小学校の門扉の電気錠システムなど、セキュリティ商品の開発にも広がっていきました」

コロナ禍をきっかけに、老人ホームの利用者さんとご家族の接触が制限された際、テレビ電話による面会システムを作りあげたのもその一つ。通信インフラの分野で培った数々のテクノロジーが多様なヒット商品を生み出しました。

佐々木常務「地元法人会では理事を、商工会では評議員を務める社長は、地域の環境整備やSDGsにも積極的です。おかげさまで北区からはSDGs推進企業認証をいただき、HTT取組推進宣言企業にも登録いたしました。当社の場合は、トップ自らが旗を振って、スタッフを導いています。リーダーが『よきにはからえ』ではなく、強い思いや願いを言葉に乗せて、みんなの意欲を盛り上げています。それが現在の省エネや脱炭素への取組にも生かされています

テレネットジャパン社では、社内の啓蒙活動にも力を注いでいます。例えば、社員一人ひとりが「SDGsを加速させるために、自ら取り組めるところからスタートしよう!」という命題のもと、「身近にできる10のアクション」を取りまとめたカードをスタッフの皆さんに配布しています。

※「身近にできる10のアクション」テレネットジャパン株式会社作成

佐々木常務「〝家のエネルギーを節約しよう〟〝徒歩や自転車を利用しよう〟〝環境に優しい製品を選ぼう〟といった10の行動指針をまとめ、社員証のように携行できるカードを作ったのです。そこには〝声をあげて〟というアクションもあります。まさに石川社長のマインドが表現されていて、スタッフから自発的な提案の声があがってくることもあります」

社員の理解が不可欠な脱炭素化に、積極参加を促した好例

社内全体の一体感を高める試みとして行われているのが、定期的に実施される避難訓練です。これは有事の際を想定し、オフィスがあるフロアから屋上まで移動する、いわば垂直避難訓練。実際に体験することで、初めてわかる気づきや発見があったといいます。

石川社長「当社には障がい者枠で採用した目の不自由なスタッフもいます。その手を引いて避難経路の外階段を歩いていくと、普段は気づきもしなかった段差や障害物があることがわかりました。オフィスを暗闇にして非常食を食べるイベントを企画した時も、さまざまな学びがありました」

佐々木常務「おそらく万が一何かが起きても、社員一人ひとりが独自に判断して、行動できる素地ができあがっていると思います。社内の人員だけでなく外部の帰宅困難者さえも誘導して、この会議室で一時的な受け入れもできるようになっています。そのための非常食や非常用電源も確保しているんですよ」

こうした社員間での意識の共有は、当然ながら脱炭素経営の実現にも欠かせません。社員一人ひとりの主体的な協力があってはじめて目標達成に向けた施策が叶えられるというもの。同社の和気あいあいとした雰囲気作りと意識改革には、これからHTTを始めようとされている中小企業の皆様にも学ぶべき点が多いのではないでしょうか。

企業プロフィール

  • テレネットジャパン株式会社
  • 東京都北区東田端2-9-6 クロコダイル第3ビル5F
  • 情報通信インフラの構築、ネットワークセキュリティ、システムソリューションの設計・施工・運用保守、関連サービスの提供
  • 81名
  • https://tnj.co.jp/
  • 2025年9月