東京都カーボンクレジットマーケットがスタート
使いやすくなったカーボンクレジットの活用に注目!

東京都カーボンクレジットマーケットがスタート
使いやすくなったカーボンクレジットの活用に注目!

東京都では、ゼロエミッション東京の実現に向けた取組の一環として、2025年3月25日から「東京都カーボンクレジットマーケット」の運用をスタートしました。これはオンライン上で手軽にカーボンクレジットを売買できる独自のシステムで、利用料は無料。脱炭素化を進める中小企業の取組の一助となる、カーボンクレジット活用を促進する仕組みとして注目されています。ここでは、カーボンクレジットの説明も含めて、「東京都カーボンクレジットマーケット」の仕組みを解説していきます。

カーボンクレジットとは?

カーボンクレジットとは、省エネルギー設備の導入や森林管理の取組などによる温室効果ガスの排出削減量や吸収量を、第三者機関による検証等を経て、企業等の間で取引できるよう認証したもの。企業や団体は、省エネや再エネ設備の導入で削減した温室効果ガス削減量、あるいは森林保全や植林などで吸収した温室効果ガス吸収量をクレジットとして売却することが可能です。一方、自社の取組だけでは削減目標を達成できない企業は、クレジットを購入することで排出削減量の不足分を補うことができます。

世界にはカーボンクレジットを認証するさまざまな制度があり、大別すると、国連や政府が運営する制度と民間主導で行われる制度の2種類があります。2023年には、日本政府が運営するJ-クレジットを扱う市場として、東京証券取引所により「カーボン・クレジット市場」※1が開設されたのも記憶に新しいところです。現時点(2025年11月19日現在)では、企業や地方自治体など340もの団体が「カーボン・クレジット市場」に参加登録し、クレジットの売買高も年々増える傾向にあります。ただし、カーボンクレジットを取引するに当たっては、クレジット認証機関ごとの口座開設や海外のクレジットの場合は言語対応などが必要となり、中小企業には高いハードルとなっていました。そのため東京都は、カーボンクレジット活用の門戸を広げるため、中小企業にも活用しやすいシステムを開発。2025年3月にスタートしたのが「東京都カーボンクレジットマーケット」なのです。

※1 「GXの取組を加速! カーボン・クレジット市場が取引を開始」
https://www.httnavi.metro.tokyo.lg.jp/column4
参考:日本取引所グループ

東京都カーボンクレジットマーケットの仕組み

「東京都カーボンクレジットマーケット」は、クレジットを創出・販売するクレジット創出者と自社やサプライチェーンの排出量を削減したい都内企業等の購入者をつなぐマーケット。日本政府が運営するJ-クレジットと民間主導で運営されるボランタリークレジットの2種類を扱っています。市場参加者には国内の企業や任意団体を対象としており、専用サイトに登録してアカウントを作成すれば、オンライン上で手軽にクレジットを取引できます。

従来のカーボンクレジット取引では、認証機関ごとにそれぞれ口座をつくる必要がありましたが、「東京都カーボンクレジットマーケット」の場合は、サイト上でアカウントを作成しておけば、認証機関ごとに口座開設をする必要がなく、容易に複数のクレジットを購入することができます。サイト上には、クレジットの概要(削減方法)のほか、どの報告基準やイニシアチブ(国際的な枠組み)に対応しているかなど詳細な情報がわかりやすく表示されていて、専門知識がなくても選びやすいのが特徴。例えば「製塩工場におけるバイオマスボイラーの導入による化石燃料の代替」によるクレジットの場合、対応する報告・イニシアチブはCDP、温対法、SHIFT事業、SBT、といった表示があり、自社が採用するイニシアチブに対応するか否かがひと目でわかります。

引用:東京都カーボンクレジットマーケット公式HPより

さまざまな情報をもとにサイト上でクレジットを選び、買い注文を出して代金を支払うと、クレジットがシステム上でトークン(デジタル資産)化※2されて購入者に届きます。これは、ブロックチェーン技術により取引履歴を暗号化して記録するもので、不正や改ざんを防ぎカーボンクレジットの信頼性を担保することができます。また、購入したクレジットは「東京都カーボンクレジットマーケット」上に再出品することもできます。

※2 一部のクレジットについてはオフセット証明書を発行

引用:PRTIMES より

Jクレジットとボランタリークレジットについて

「東京都カーボンクレジットマーケット」で取り扱うのは「J-クレジット」と「ボランタリークレジット」。ここでは、それぞれの特徴について解説いたします。

J-クレジット

J-クレジットは温室効果ガスの吸収量をクレジットとして国が認証する制度で2013年にスタート。省エネや再エネ設備の導入や利用、適切な森林管理や緑地保全などによって得られた温室効果ガス削減量・吸収量に対してクレジットが発行されます。J-クレジットは、国内の温対法や省エネ法、あるいは国際的イニシアチブのSBTやCDPなど、さまざまな温暖化対策の報告書に活用することが可能です。

ボランタリークレジット

カーボンクレジットには、国連や政府が運営するものと、民間セクターの主導で運営されるものがあります。J-クレジットは前者にあたり、国内制度によるクレジットになります。一方、ボランタリークレジットは民間主導で運営され、規制や政策に関わらず民間セクターによって自主的にクレジットの発行や活用が行われています。

クレジット制度の分類(国連・政府主導/民間主導)
国連・
政府主導
国連主導 京都メカニズムクレジット(JI、CDM)
二国間 二国間クレジット制度(JCM)
国内制度 J-クレジット制度
CCER(中国)
ACCUs(豪州) など
民間主導
ボランタリークレジット
VCS、Gold Standard、CCB Standard、ACR、CAR など

引用:東京都カーボンクレジットマーケット公式HPより

ボランタリークレジットで認められるプロジェクトの種類は多岐にわたります。クレジットの創出量、流通量は年々増加していて購入時の選択肢が多く、自社の脱炭素戦略に合わせて選べるメリットがあります。森林保護、石炭からバイオマスへの燃料切り替え、メタン削減プロジェクトなど、さまざまな活動により発行されるボランタリークレジットがあります。

「東京都カーボンクレジットマーケット」のサイト画面では、認証基準やプロジェクト実施国等を条件にボランタリークレジットを検索することが可能ですので、自社の脱炭素活動に則したクレジットを選ぶことをおすすめします。ご注意いただきたいのは、ボランタリークレジットはあくまで民間セクター主導の自主的取引であるため、政府の排出量削減に関する規制などに適用できないケースもあるということ。国や自治体向けの報告書作成に活用を検討する場合は、ボランタリークレジットによるオフセットの適用可否について確認するようにしましょう。

中小企業のカーボンクレジット活用促進に向けて

2050年にゼロエミッション東京を実現するには中小企業の参加が不可欠であることから、東京都は中小企業によるカーボンクレジット活用の支援に力を入れていて、2025年4月から「カーボンクレジット活用促進事業」を開始。東京都カーボンクレジットマーケットで購入したクレジットで自社の排出量をオフセットし、その取組を発信してブランディングを行う企業に対してはプロモーション経費等を一部助成しています。

都内に事務所、または事業所を置く事業者(民間企業、学校法人、公益法人、医療法人、社会福祉法人など)が対象で、ブランディングやプロモーションなどの実施に係る経費に対して助成金をご提供します。中小企業に対する助成率や助成上限額が高いのが特徴。カーボンクレジットの活用を始める良い機会といえそうです。

助成対象者助成対象経費助成率・上限額
中小企業
  • GHG排出量の算定に要する経費
  • カーボンクレジットのオフセットによるブランディング計画策定及び当該ブランディング計画に基づく各プロモーションの企画策定に要するコンサルティング経費
  • プロモーション実施に要する経費
3分の2
200万円
中小企業以外
  • プロモーション実施に要する経費
2分の1
100万円

●「カーボンクレジット活用促進事業」の概要・お問合せ
クールネット東京 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/creditoffset_pr

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