令和6年度HTTセミナー開催結果報告

令和6年度HTTセミナー開催結果報告

「HTTセミナー」は、東京都が取り組む「HTT(電力をへらす・つくる・ためる)」を広く周知し、中小企業の皆様に実践していただくためのハイブリッド型講演です。2023年からスタートし、・・・


「HTTセミナー」は、東京都が取り組む「HTT(電力をへらす・つくる・ためる)」を広く周知し、中小企業の皆様に実践していただくためのハイブリッド型講演です。
2023年からスタートし、毎回さまざまな分野で活躍する講師陣を招聘。省エネ、再エネへの取組が必要不可欠な今、脱炭素経営に役立つ最新情報や具体的な取組事例を発信してまいりました。
そこで前年度に引き続き、2024年5月から2025年2月にかけて開催した全10回にわたるセミナーを振り返ります。

令和6年度の総括
さまざまなデータから紐解く、HTTへの関心度と期待感

前年度は全13回でのべ800名にのぼる皆様にご参加いただきましたが、今年度は全10回でこれに匹敵する勢いの参加者数を記録しました。お申し込み総数は1000名をはるかに上回り、多岐にわたる業種の企業ご担当者様からのご応募がありました。


・サービス業(29.4%)
・製造業(17.0%)
・学術研究、専門・技術サービス業(10.1%)
・卸売業・小売業(7.5%)
・情報通信業(6.5%)
・建設業(4.8%)
・その他(24.7%)


また、企業規模は「301名以上」の企業様を筆頭に、さまざまな中小企業の皆様からお申し込みをいただきました。


・301名以上(38.7%)
・101〜300名(14.1%)
・51〜100名(5.9%)
・30〜50名(2.4%)
・10~29名(10.3%)
・5〜9名(4.9%)
・1〜4名(23.1%)
・その他(0.6%)


一方、実際に参加された皆様の年齢層(アンケート回答者ベース)の内訳は「60代以上」が一番多く、経営者や管理職の方々がこの話題に強い関心を持たれていることがわかります。


・60代以上(40.8%)
・50代(33.8%)
・40代(13.0%)
・30代(7.0%)
・20代(5.3%)


昨年は回を追うごとにリピート割合の伸びが堅調傾向にありましたが、今年度は初回の5月を除き、50%前後から多い回で65%強が新規のご参加者という結果でした。脱炭素経営について幅広く知見を深めたいと考えるリピーターの皆様が一定数いらっしゃる一方で、この分野に関心を寄せる皆様がますます増えているといえそうです。


また、当セミナーへの参加理由としては「社会課題として当然取り組むべきと考えているから」(27.9%)が最も多く、「自社の成長につながる」(13.4%)という回答が続きました。取引先企業や金融機関、株主・投資家といったステークホルダーからの働きかけに応じたいという他動的スタンスに比べ、比較的積極的な理由から脱炭素化を志向される企業様が多いように見受けられました。

さらに、各参加企業様が抱える喫緊の課題としては「脱炭素経営(温室効果ガス削減対策等)の情報が不足している」(26.1%)、「人材、人手が不足している」(18.9%)といった回答が寄せられました。当セミナーへのご参加をきっかけに多様な考え方や事例を学び、今後の課題解決に役立てたいという声も多数うかがえました。


なお、当セミナーに対する満足度は「非常に満足」(29.4%)、「満足」(58.4%)、内容についても「とても理解できた」(30.6%)、「理解できた」(62.3%)が大多数を占め、いずれもほぼ9割の皆様に評価をいただけたことがわかりました。

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各セミナーの概要を一挙にご紹介します!


月に一回、全10回にわたって行われたセミナーは以下の通りです。

それでは、各セミナーについてご紹介しましょう。



【2024年5月】
中小企業としての脱炭素経営の一歩!~最新情報をつかんで事業を成長へシフト~
講師:ゼロボード総研所長 グローバルサステナビリティ基準審議会(GSSB)理事
待場智雄(まちば ともお)氏

長年、国際機関で気候変動対策に関する政策やガイドラインづくりに携わってきた待場氏にお話しいただいたのは、大企業の脱炭素経営とは異なる中小企業ならではのアプローチ。国内外の最新動向を交えながら語られた脱炭素経営へのアクションは、「やらされている感」を払拭し、小さくとも一つひとつしっかりと歩みを進めていくことの大切さでした。

セミナーレポート「第一歩を踏み出す勇気と覚悟 中小企業だからこそできる対策があります

【2024年6月】
サプライチェーン全体で脱炭素化を実現!~競争力の高い脱炭素経営計画と5つの事例~
講師:中小企業アドバイザー 鷹羽毅(たかは たけし)氏

昨年に続き、2度目のご登壇となったカーボンニュートラルアドバイザーの鷹羽氏。講義ではサプライチェーン排出量削減の話題を中心に、脱炭素経営計画の重要性と具体的な実践事例を交えた5つの取組について解説していただきました。

セミナーレポート「中小企業なくして脱炭素の成功はない 今こそ、サプライチェーンのキーマンとなるとき

【2024年7月】
脱炭素社会への変化に取り残されないために。いま、中小企業が知っておくべき社会動向
講師:公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン) 自然保護室(気候・エネルギー)
市川大悟(いちかわ だいご)氏

WWFジャパンに所属する市川氏が語る気候変動に関するトピックスは、いずれも疑う余地のない地球規模の脅威ばかり。具体的な数字を挙げてお話しいただいた数々のリスクと未来予測は、私たちが携えるべき脱炭素化に対するモチベーションをより一層高めてくれました。

セミナーレポート「災害リスクが高い首都圏こそ、危機感を持って本気の脱炭素経営を

【2024年8月】
中小企業のための「脱炭素」×「省エネ」×「公的支援」
講師:新井田技術士事務所代表 新井田有慶(にいだ ありよし)氏

大手鉄鋼メーカーの技術職として活躍し、現在は技術コンサルタントとして中小企業の省エネ支援を行っている新井田氏。東京都中小企業振興公社で脱炭素に関する相談を担うお立場から、中小企業が始められる省エネの取組や、公的支援の活用術についてお話しいただきました。

セミナーレポート「公的支援を活用して「脱炭素」×「省エネ」で業務改善に取り組む

【2024年9月】
事業成長につなげる脱炭素経営
講師:国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 SDGs担当 帝塚山学院大学非常勤講師
今田大輔(いまだ だいすけ)氏

各地方自治体でSDGsやカーボンニュートラルの推進アドバイザーとして啓発・普及活動を続けている今田氏が、他人事を自分事に変える行動変容の仕組みづくりにおいて辿り着いたキーワードは「面白さ」「楽しさ」「かわいさ」。セミナーでは、ともに脱炭素化を目指す仲間として社内スタッフを巻き込むユニークな施策の数々が語られました。

セミナーレポート「脱炭素の「正しさ」だけで人は動きません 「面白さ」「楽しさ」で一歩踏み出す行動変容のきっかけづくりを

【2024年10月】
脱炭素経営「事例からみる進め方のポイント」
講師:ピコットエナジー株式会社 代表取締役 ゼロエミッション経営推進相談員
田村健人(たむら たけと)氏

講師の田村氏は、東京都のゼロエミッション経営推進相談員として、数々の企業の脱炭素経営をサポートしてきたコンサルティングのプロフェッショナル。その経験から語られた多彩な対策の具体例、カーボンフットプリントなどの新しい動き、補助金を活用した取組が、リアルな省エネの進め方として参加者の皆様から好評を浴びていました。

セミナーレポート「昔からのやり方を疑う目も必要 働き方改革でより踏み込んだ省エネ対策を

【2024年11月】
脱炭素経営 ビジネスチャンスとリスクをとらえたアクションとは?
講師:サステナブル575 代表 廣瀬悦哉(ひろせ えつや)氏


約40年にわたって資産運用関連のビジネスに携わってきた廣瀬氏が語られたのは、サステナブル投資の分野から見た脱炭素経営でした。急速に進むサステナブル投資の今と、投資家の関心度を高めるためのアクション、企業価値を向上させる考え方など、環境課題に取り組む意義が語られました。

セミナーレポート「気候変動のリスクと機会を捉え、脱炭素時代のフューチャーメイカーに

【2024年12月】
中小企業の成長に不可欠な脱炭素経営の具体的実例
講師:一般社団法人東京都中小企業診断士協会 大東威司(おおひがし たかし)氏

東京都のゼロエミッション経営推進マネージャーとして活躍する大東氏も昨年度に続き2度目のご登壇となりました。国内外における脱炭素経営への動き、急速に進む中小企業の意識変化など、具体的に成果をあげた企業事例とともにお話しいただきました。

セミナーレポート「脱炭素経営は今すぐ取り組む! サプライチェーンで競争優位性を確保

【2025年1月】
2025年、今から始める脱炭素経営 ~経営の視点で向き合うポイントはここ~
講師:立命館大学 衣笠総合研究機構 三上己紀(みかみ みき)氏

エネルギー問題や環境問題を研究する専門職のお立場から脱炭素経営に向き合うポイントを講義されたのが三上氏。セミナーでは、企業や自治体のコンサルタントとしても活躍する幅広い知見を披露いただきながら、めまぐるしく変化する世界情勢の中で日本が置かれている状況、社会課題に取り組む意義を語っていただきました。

セミナーレポート「エネルギーの今を知り、これからを考える

【2025年2月】
CO2排出量の把握から始める~会社と商品の排出量の把握から、事業の成長へ~
講師:株式会社ゼロボード CEO室CEO付 芝崎章(しばさき あきら)氏

さまざまな企業や自治体のカーボンニュートラル推進をサポートしてきた芝崎氏。セミナーでは、CO2の直接排出量と間接排出量(Scope1、2)を把握する大切さのみならず、企業活動全体における他社の排出量を計上するScope3についても、興味深い多様な情報やノウハウをご教示いただきました。

セミナーレポート「脱炭素経営は戦略。早く始めてこそ価値があります

「今、やらなければ!」
その気持ちに寄り添い、これからもHTTに取り組む企業の皆様を応援します!

HTTセミナーは、社会が直面している地球温暖化やエネルギー不足とその対策の必要性、脱炭素経営に関する多様な情報を提供してまいりました。今後も、当事業は東京都が推進するさまざまな施策についてのご案内とともに、本セミナーへのご参加を通して脱炭素経営に取り組まれる企業の皆様に役立つ情報をお届けしてまいります。また、当事業では引き続きHTT実践推進ナビゲーターへのご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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